日本文化の象徴、棚田がある里山の景色
古くから耕作され脈々と受け継がれてきた美しい棚田。十日町には棚田を中心とした里山の暮らしが今も息づいています。
棚田はかつて世の中の価値の中心が「お米」であった時代からの遺産であり、日本文化の象徴の一つです。また、棚田は単にお米を育てる場所というだけでなく、ダムのような治水機能や水の浄化機能、多様な生き物が住みかとする生態環境など、地域にとって欠かせない様々な役割も果たします。
新潟県十日町市は全国でも有数の棚田のメッカと言われており、地域に点在する美しい棚田の数々は多くのを人々魅了しています。豪雪地域としても有名なこの地域の棚田は、先人が自然の猛威に対して強くしなやかに向き合い続けた営みの結晶とも言えるでしょう。
アウトドアガイドが里山や雪国の暮らしについてご案内
里山は人々の暮らしと動植物の暮らしとが交わる場所です。そんなグラデーション地域に住んでいるからこそわかる自然の繊細さを、地域在住のアウトドアガイドがお伝えします。
例えば、タヌキやアナグマ、カモシカなどの足跡や他の痕跡、雪の重みで曲がった杉や低山に自生するブナ、色々な植物に絡みあい生きている藤やあけびの蔓(つる)など、ツアー中にご覧になる機会があるかと思います。個性あふれる自然の営みとそれに関わる人々の営みを覗いてみてください。里山に住む雪国の人々の暮らしについて話を聞きながら山を巡っていると、時には道中に農作業などをしている集落の人々と会話をする場面もあるかもしれません。
棚田の美しさの裏に見える課題
多くの人の心をひきつける棚田や里山の景色は、常に人々の手が入ることで維持されてきました。実はそれは多くの人の継続的で膨大な作業を必要としますが、これまでその役割を担ってきた里山の集落では高齢化が進み、そのような多大なエネルギーを生み出すのが困難な状態に陥っています。
一方で、棚田に水が張られ「水鏡」が見えるようになる時期になると、棚田の周りはその景色を無償で楽しむ多くの来訪者で混雑します。正直なところ、集落や棚田の耕作者からすると複雑な心境です。
このように、棚田からは今の日本が抱える普遍的な課題を垣間見ることもできます。本ツアーを通してそれらの課題について少しだけ考える機会を持っていただけたら幸いです。
※本ツアー参加費には、コースで訪れる棚田を含む里山の景色を守っている集落への寄付金が含まれます。
楽しみ方が選べる3つのコース
十日町棚田トレッキングのルートは全長約20km近くあります。ルートの一部を3つのコースに分けて、ツアーをご提供しています。
※コースの中には一部急こう配が急な箇所や足元が不安定な箇所も含まれます。
1.絶景・星峠の棚田コース(★本ツアー)
全長約5km、高低差420m、ほぼ未舗装道、ベンチマークタイム3時間半
ほくほく大島駅を出発地として「星峠の棚田」を目指し、かつて集落の住民が日常的に行き来した旧道(未舗装の山道)を歩きます。集落が見渡せる小高い山に登ると、八海山や越後駒ヶ岳など越後三山を奥に棚田や里山の風景が臨めます。山の稜線を歩いていると、美しい棚田や季節ごとに表情を変える山々が見え、不意に小さな動物や昆虫が顔を出すこともあります。 また、通常観光客が入れないエリアから「星峠の棚田」の景色を楽しむことができます。
2.里山の営みを巡る集落コース
全長約9km、高低差190m、未舗装20%、ベンチマークタイム4時間半
「星峠の棚田」を出発地として、自然と共存する里山の生活に溶け込みながら歩きます。道中では集落の人々と交流の機会があるかもしれません。時には家に上がらせてもらい、村に伝わる昔話や歴史の話、雪国の暮らしについて、話を聞く機会もあるかもしれません。暮らしの営みの中から見える、特別な日常を感じてみてください。
※詳細・ご予約についてはお問い合わせください。
3.サムライの時代を感じる歴史コース
全長約4.5km、高低差150m、未舗装道50%、ベンチマークタイム3時間
長い歴史の中で多様な役割を果たしてきた、古道・松之山街道を中心に歩きます。松之山街道は越後の武将・上杉謙信が関東出陣で何度も歩いた、正真正銘の「サムライの古道」です。街道にはひっそりと石仏や神社が佇み、かつては要所でもあった山城の跡地が通りがかる人々の安全を願っているようにも感じられます。
※詳細・ご予約についてはお問い合わせください。
※本ツアーは日帰りツアーです。地域の暮らしが体験できる宿泊付きプランをご希望の方は以下をご覧ください。